ケトジェニックダイエットをうまく取り入れた食生活
ここまでケトジェニックダイエットの概要やPFCバランスなどについて解説をしてきました。本章では、日常生活にケトジェニックダイエットを取り入れるためのヒントを紹介していきます。
ケトジェニックフレンドリーな食品リスト
ケトジェニックダイエットに適した食品群について、改めてまとめました。以下の食材を中心に食事の計画を立てていきましょう。
野菜 |
カリフラワー、ブロッコリー、アスパラガス、キュウリ、セロリ、インゲン豆、大根、レタス(ロメイン、ルッコラなど)、白菜、ケール、ほうれん草、ズッキーニ、ナス、トマト、マッシュルーム、ピーマン、ネギ、ニンニク、ハラペーニョ、タマネギ、もやし、キャベツ、芽キャベツ、アーティチョーク、ザワークラウト、キムチ |
フルーツ等 |
ココナッツ、ブラックベリー、ラズベリー、いちご、レモン、ナシ、リンゴ、スイカ、ライム、ブルーベリー、クランベリー、キウイ、アサイー、オリーブ、アボカド、 |
肉類 |
豚肉、牛肉、鶏肉、ラム、鴨、ソーセージ、ベーコン、プロシュート、パンチェッタ、ターキー、ホルモン、ジャーキー |
魚介類 |
アンチョビ、ニシン、マグロ、ムール貝、カキ、エビ、ホタテ、イカ、アサリ、タコ、サバ、サケ |
乳製品 |
ハードチーズ(パルメザン、チェダー、ゴーダなど)、ソフトチーズ(クリームチーズ、マスカルポーネ、ブリーチーズなど)、生クリーム、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ、サワークリーム |
ナッツ・種子 |
ピーカンナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、クルミ、ひまわりの種、ごまなど |
油 |
オリーブオイル、ココナッツオイル、アボカドオイル、バター(グラスフェッドバターがベスト)、ガーリックバター、ギー、ラード、MCTオイル |
調味料 |
酢、ホットソース、マヨネーズ、ワカモレ、低糖質ケチャップ、マスタード、オランデーズソース、グレービーソース、ごま油、ハラペーニョソース、ウスターソース、レモンまたはライム果汁、ビネガードレッシング、砂糖不使用のトマトベースのソース(マリナーラやサルサなど) |
飲み物 |
ハーブティー、アイスティー、炭酸水、コーヒー、赤ワイン(辛口)、白ワイン(辛口)、ウォッカ、ジン、ウイスキー、ラム、スコッチ、テキーラ |
その他 |
スパイス、ハーブ、カカオ、ゼラチン、コラーゲン、ココナッツパウダー、アーモンドパウダー、ピーナッツパウダー、カカオバター、ステビア、エリスリトール、バニラエキス、85%以上のダークチョコレート |
ケトジェニックダイエットと外食
ケトジェニックダイエット中でも外食は可能です。ただし、ここまで解説してきた通り、低糖質で高脂質な食事を選択することが重要です。以下は、外食時に考慮すべきポイントと、選択しやすいケトジェニックフレンドリーなメニューの例です。
外食時のポイント
外食時には以下のポイントに注意しましょう。
空腹状態で食べない
空腹のまま急いで食べると、糖質の吸収や血糖値の急激な上昇が起こります。これにより血管に高血糖のダメージが蓄積され、健康に影響を及ぼす可能性があります。食事前には軽いスープや水、お茶を摂りつつ、ゆっくりと食事を始めましょう。
野菜から食べる
「ベジファースト」「カーボラスト」などとも呼ばれ、食物繊維が豊富な野菜から摂ることで急激な血糖値上昇を予防します。糖質や脂質の低い野菜を最初に摂ることで、食べ過ぎを防ぎます。
時間をかけて食べる
食べる速さが摂取した栄養の1消化や吸収のスピードに影響を与えます。早食いは血糖値の急激な上昇を招くため、食事をゆっくり楽しむことが健康に良いです。
お酒やジュースは控える
糖質制限中は、お酒や甘いジュースに注意が必要です。特にビールや缶酎ハイは多くの糖質を含んでいます。代わりに焼酎やウイスキー、炭酸水で満足感を得つつ糖質を制限しましょう。
食後に軽く運動する
食後の静止は血糖値の下がりにくさにつながります。すぐに激しい運動は避けつつ、少し時間を置いてから軽い散歩などの運動を心がけましょう。これが血糖値の安定に繋がります。
おすすめのメニュー
和食
和食は主食がご飯です。おかずはご飯に合うように、砂糖やみりんなどで糖質が多い味つけになっています。特に、煮物や照り焼きなどには注意が必要です。ご飯の量を減らしてもらえる場合は、「少なめでお願いします」とリクエストしてみてください。また、主食の種類を選べるなら、食物繊維の豊富な玄米や五穀米を選ぶことをお勧めします。
甘い味つけのメニューはできるだけ避けましょう。ご飯の量を減らした場合、冷奴や納豆、温泉卵、おひたしなどを追加すると良いです。また、刺し身などの低カロリーメニューだけではお腹が空く場合は、肉豆腐や鶏肉の竜田揚げなどを1品追加するのも良い選択です。
以下がおすすめのメニューです。
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鶏肉の竜田揚げ
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肉豆腐
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豚肉の生姜焼き
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刺身定食
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焼き魚定食
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鍋(しゃぶしゃぶなど)
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寿司
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焼き鳥
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鉄板焼
洋食
洋食のメニューはほとんどがご飯またはパンとセットになっています。主食が気になる場合は、主食の量を減らすか、断るように心がけましょう。
おすすめは、肉がメインのステーキやグリル料理です。ハンバーグはつなぎにパン粉などが使われており、やや糖質が高いので注意が必要です。
さらに、小麦粉やパン粉が多く使用された揚げ物や、小麦粉をベースにしたホワイトソースやシチューなどは糖質が高いため、摂取を控えるようにしましょう。イモ類が付いてくる場合は、できるだけ避け、その代わりに野菜サラダを追加することをおすすめします。また、主菜だけでは満足感が足りない場合は、唐揚げやエビフライなどを追加するのも良い選択です。
急いでランチを済ませたい場合、ファーストフード店を利用したいという方もいるでしょう。しかし、ハンバーガーとフライドポテト、コーラなどのセットは糖質が多くなりがちです。ハンバーガーの代わりにフライドチキンやナゲットを選ぶと良いでしょう。これによってたんぱく質や脂質をしっかりと摂取できます。また、フライドポテトの代わりに選びたいのはサラダ類です。
以下がおすすめのメニューです。
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ステーキ
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グリル
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メンチカツ
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ビーフカツレツ
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唐揚げ
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エビフライ
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ローストビーフ
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ムニエル
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オムレツ
ケトジェニックダイエット中のおやつ
糖質制限中には、何かを我慢する必要があると感じがちですが、実際にはおやつも栄養素を適切に選ぶことで十分に楽しむことができます。特に、食事制限中に不足しがちなたんぱく質やカロリーを補うために、おやつを摂ることは良い習慣になることがあります(個々の状況によりますので、担当のトレーナーに相談してみてください)。
ただし、過度な間食はダイエットの観点からは望ましくないため、食べる時間や頻度は計画的に決め、守るようにしましょう。
商品を購入する際には、必ず商品の裏にある「栄養成分表」を確認しましょう。まず、習慣として糖質量とカロリーをチェックすることが重要です。注意点として、成分表には商品によって「一個当たり」や「100gあたり」といった異なる算出方法があることに留意しましょう。正確な情報を得るために、それぞれの表記方法を正しく理解することが大切です。
特に糖質量に関して、「炭水化物量」と表示されている場合は、以下のように計算されます。
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糖質量 = 炭水化物 − 食物繊維
この式を理解し、正確な糖質摂取量を確認するようにしましょう。
以下にケトジェニックダイエット中におすすめのおやつを紹介します。
ゆで卵
ゆで卵は、糖質制限中において重要なたんぱく質と脂質を摂取できる頼もしい食材です。1個あたりの糖質は約0.2gで、たんぱく質は約6.4g、脂質は約5.4g含まれています。マヨネーズ(カロリーカットタイプは糖質が含まれるためNG)を用いて味つけすると、脂質の補給がさらに可能で、おすすめです。
素焼きミックスナッツ
くるみやカシューナッツなど複数のナッツがブレンドされたミックスナッツもおすすめです。各ナッツごとに異なる味わいや歯ごたえが楽しめ、飽きずに摂取できます。ただし、ナッツにはジャイアントコーンのように糖質が多いものも存在するため、注意が必要です。
枝豆
枝豆もたんぱく質が豊富な食品の一つです。100gあたりのたんぱく質は約11.7gで、食物繊維や各種のビタミン・ミネラルも含まれています。炭水化物は100gあたり8.8gですが、そのうち食物繊維が5.0gを占めており、実際の糖質量はそれほど多くありません。100g食べても糖質は約3gです。
素焼きアーモンド
素焼きアーモンドも糖質制限中における頼りになる仲間です。コンビニやスーパーなどで手に入ります。小袋タイプの商品を見つけてバッグに忍ばせておけば、手軽に食べられます。
アーモンドはカロリーが高めですが、糖質制限中はカロリーを厳密に気にする必要はありません。10粒食べても糖質は0.1gを超えない低糖質な食品であり、不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維の補給も期待できます。
さらに、アーモンドには酸化防止作用があるビタミンEが含まれています。これにより、糖質制限中に摂取しやすい脂肪の酸化リスクを抑えてくれます。特に青魚などに多く含まれる不飽和脂肪酸は酸化しやすい傾向がありますので、青魚を積極的に摂る方にとってはアーモンドは理想的なおやつです。
あたりめ
あたりめやするめは、噛む回数が多いため、オススメのおやつです。十分な噛みごたえがあり、これによって満腹中枢が刺激され、食事前の食欲を抑制するのに役立ちます。あたりめ20gあたり、たんぱく質は約14g含まれています。比較的日持ちがするため、備蓄しておくと便利です。
糖質OFFヨーグルト
糖質OFFヨーグルトもおすすめのおやつですが、微量の糖質が含まれていることに留意が必要です。通常のヨーグルトに比べて低糖質ではありますが、プロセスチーズと比べれば糖質量はやや多めで、100gあたり約5gです。
したがって、糖質制限を始めて身体がケトーシス(ブドウ糖ではなくケトン体を主なエネルギー源としている状態)になる前は控えることをお勧めします。ケトーシスが安定してきたら、徐々に摂取を検討すると良いでしょう。
プロセスチーズ
プロセスチーズは、スライスチーズや6Pチーズなど、コンビニやスーパーで手に入るチーズ製品を指します。6Pチーズ1個(約20g)あたり、たんぱく質が約4.5g、脂質が約5.2g含まれています。
他の乳製品と比較して糖質が低い(20gあたり約0.3g)ため、糖質制限中の栄養補給に適しています。また、個包装の6Pチーズは持ち運びに便利です。
ビーフジャーキー
ビーフジャーキーは牛肉を燻製にしたおつまみとして広く知られています。高たんぱく(100gあたり54.8g)であり、低糖質(100gあたり6.4g)です。コンビニやスーパーでは様々なビーフジャーキーが販売されていますが、味つけによっては糖質が多いものもありますので、プレーンなものを選ぶことが重要です。
生ハム
最近ではコンビニでもよく見かけるようになりました。100g当たりの糖質量がわずか0.5gと、糖質制限中に適したおやつです。外出先での食べる機会は制限されるかもしれませんが、美味しいので選択肢の一つに加えても良いでしょう。
おつまみ昆布
これまで紹介したおやつの中では糖質量がやや多めですが、その分食物繊維を多く摂ることができるので非常にお勧めです。特に糖質制限中は食物繊維不足による便秘が難点ですが、こういったおやつを上手に利用して食物繊維を美味しく補給していきましょう。
寒天ゼリー
甘い系おやつの代表格です。コンビニやスーパーで手に入れることができます。糖質は0gです。
プロテインバー
市販のプロテインバーの多くは人工甘味料で甘さを付けています。そのため、かなり低糖質な商品が豊富で、糖質制限中に最適なおやつです。最近はコンビニでもさまざまなプロテインバーが出回っているので、選択肢が増えました。
ケトジェニックダイエットとアルコール
ケトジェニックダイエット中は、低糖質のお酒であれば飲んでも問題ありません。ただし、お酒は飲む際に制限して摂るほうが良いです。というのも、アルコールを摂取することで、ケトジェニックダイエットの効果が低下する可能性があるからです。
ケトジェニックダイエットは、体内のエネルギー源を糖質から脂質に変える「ケトン体」を活用するダイエット方法です。このダイエット中は糖質の摂取を制限し、「ケトーシス状態」を維持しています。アルコールを摂取すると、脂質ではなくアルコールが優先的にエネルギー源となり、脂肪燃焼の効果が低下します。
そのため、糖質が少ないお酒を飲む場合でも、摂取量には注意が必要です。また、お酒を飲むときには、一緒に摂るおつまみにも気を付ける必要があります。適度な範囲でお酒を楽しむことで、ケトジェニックダイエットの効果を維持しやすくなります。
ケトジェニックダイエット中には、以下の6つのお酒が飲んでも良い選択肢です。ケトジェニックダイエットでは、低糖質のお酒を選ぶようにしましょう。飲んでも良いお酒を6つ紹介します。
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焼酎: 焼酎100mlあたりのカロリーは146kcalで、糖質量は焼酎甲類・焼酎乙類ともに0gとなっています。
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ウイスキー:30mlあたりのカロリーは71kcalで、糖質量は0g
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ブランデー: 30mlあたりのカロリーは71kcalで、糖質量は0g
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泡盛: 100mlあたりのカロリーは168kcal、糖質量は0g
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ウォッカ: 100mlあたりのカロリーは240kcalで、糖質量は0g
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辛口ワイン: 100mlあたりのカロリーは73kcal、糖質量は1.5g
続いて、ケトジェニックダイエット中に控えたほうが良いお酒を5つ紹介します。
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ビール: 100mlあたりのカロリーは39kcal、糖質量は3.1g
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日本酒: 100mlあたりのカロリーは109kcal、糖質量は2.5g
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甘口ワイン: 100mlあたりのカロリーは73kcal、糖質量は2.0g
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梅酒: 100mlあたりのカロリーは156kcal、糖質量は21g
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カクテルやチューハイなど甘いお酒: カクテルやチューハイには砂糖が多く入っているため避けましょう。
ケトジェニックダイエット中の空腹感の管理
お腹が空いている際に糖質を摂取すると、血糖値が急激に上昇し、ケトーシスならではの血糖値の安定が難しくなります。そのため、ケトジェニックダイエット中は、適切な間食を取り入れて空腹感を回避することが重要です。
空腹を感じた場合、血糖値の急激な上昇を防ぐために、チーズやナッツなどの糖質が含まれていない食材を間食として摂取することがおすすめです。
血糖値の急激な上昇を抑え、空腹を緩和するためには、食事をゆっくり進めることが重要です。人間の満腹中枢が刺激されるまでには、通常15~20分ほどの時間がかかると言われています。したがって、ケトジェニックダイエット中において、空腹感が生じた際には、余分なカロリーを摂取しないように、満腹中枢が効果的に機能する時間を意識することも大切です。
また、血糖値の上昇をコントロールするためには、「食物繊維→たんぱく質→糖質」の順で食事を摂ることがおすすめされます。
ケトジェニックダイエット中にお腹が空いた際には、ケトーシスの促進に役立つMCTオイルを摂取することがおすすめです。MCTオイルには、レプチンなどのホルモン分泌を刺激して満腹感をもたらす特性があります。
例えば、朝食時にMCTオイルを加えたコーヒーを摂ることで、午前中からお昼まで満足感を維持できるでしょう。